BAD BOYは今でも非常に大きなレーベルですしこのレーベルが出たことでHIP HOPはずいぶん変わったと思います。
THE NOTORIOUS B.I.G./ONE MORE CHANCE
"BIG POPPA"、"JUICY"ときてのこの曲。やはり「ネタがでかい」というところで賛否両論あった気がします。
CRAIG MACK/FLAVA IN YA EAR(REMIX)
この曲はそれまでのHIP HOPらしさが濃厚な感じもします。当時のSTREETっぽいHIP HOPな感じ?
自身が1995年に設立した「BAD BOY」というレーベルではこの二人のMCが二枚看板だったわけです。ざっくりした分け方になりますが「CLUBっぽい」トラックと「STREETっぽい」トラックに分かれるかと。
BAD BOY設立の前にA&Rとして働いていたUPTOWNでは
MARY J. BLIGEやJODECIなんかを手掛けていて歌ものにHIP HOP CLASSICを思い起こさせるようなサンプリングソースを入れて大成功していたわけです。
いろいろなインタビューを読むとBIGGIEのアルバム"READY TO DIE"においてはDR.DREやSNOOPの東海岸版を目指して作ったなんてことも言っているようですね。歌詞世界においてはハスラーっぽい雰囲気や死生感なんかが描かれていてなるほどと思えます。
トラックはそれまでのトラックメイカーがやっていたような「誰も聴いたことがないようなサンプリングソース」を使うよりは「当時の都市部に暮らす若者であれば割と知っている」ような曲が使われていることも多いですね。つまりKID CAPRI、BIZ MARKIE、RON Gらが作ったようなOLD SCHOOL R&Bのテープに収録されているような楽曲ですね。
実際に1995年にはあのBRUCIE BをBAD BOYで雇っていたようです。BRUCIE Bと言えばROOFTOPでの活躍や先述したKID CAPRI、BIZ MARKIE、RON Gらが制作していたMIX TAPEのスタイルのオリジネイターな訳です。あのマイクでの煽りや選曲において。
当時は「BAD BOYは大ネタばかりでつまらん」みたいな批判もあったような(私もそう思ってましたよ)気がしますがそういうのはとんでもなく的外れなわけです。ちゃんとHIP HOPの伝統は受け継ぎながらその当時のマーケットで受けるように作った結果がああいった大ネタ使いになるわけですね。
1993年に"ILLMATIC"というあれだけ当たったアルバムをリリースしたNASでさえセカンドアルバムからのシングルでこうなったのはおもしろいですね。推測ですけどBAD BOYの動きが影響していたと思いますよ。
どこにでも転がってるような印象を受けてしまうようなこのへんのレコードですがそういうのを考えながら聴くとまた楽しめますよ。