少し大きな買取がありまして、THE BEATLESをはじめとするROCKの名盤と呼ばれてきたレコードが多数入荷しております。
当店ではあまり取り扱って来なかったジャンルなんですが、改めて聴いてみると素晴らしいアルバムがたくさんあって良いですね。
1960年代に「第一次ブリティッシュ・インヴェイジョン」なんて呼ばれたこういった音楽はアメリカのBLUES、R&B、JAZZなどから強い影響を受けながら独自のスタイルを確立し、当時のアメリカ音楽にも大きな影響を与えた。というのがよくわかります。
BLUES、R&B、JAZZなど、と書きましたがいわゆる黒人音楽(BLACK MUSIC)というやつですね。
実は最近この「黒人音楽(BLACK MUSIC)」という言葉についてはいろいろと考えてしまいます。当店においてもレコードの内容を説明するためにたくさん使ってきましたし「黒い!」とか「真っ黒!」なんて表現もしてきました。(※今はやめてます)
「黒人音楽(BLACK MUSIC)」は買い付けでアメリカに行った時には使わないようにしている言葉でもあります。はっきりと言ったことが無いので使うとどうなるのかは知りませんが、言っても良いことはなさそうだなというのはなんとなく肌で感じます(「外国」なんでそういうとこは今もピリピリしてます)。
やはりアメリカ社会に根強く残る「人種差別」という問題が根底にあるんで気を使います。差別的な意図があるとかないとかはさておき、その単語から嫌な気持ちになる人が居るのなら使わないのがベストだと思ってのことです。
過去に当店のサイトでは「黒人音楽(BLACK MUSIC)」という単語は使ってきました(※ちなみにクレームなどをいただいたことはありません)。なんらかの「雰囲気」を伝えるのには便利な言葉だとも思ってます。
言葉のニュアンスなんてのは時代時代で変化するものでもあります。一度こういうことを考えてこういう文章を書くくらいには考えたわけですから今後はこの言葉の取り扱いには気をつけようと思っています。
しかし全く使ってはいけない言葉。というか「タブー」のような扱いにするのも気が引けます。
例えば、名門「ATLANTIC」は設立当初から1966年にTHE YOUNG RASCALSがデビューするまでは「黒人音楽(BLACK MUSIC)」をリリースするレーベルでした。
当時の音楽の売り上げというのはレコード店での販売がメインであることは言うまでもないのですが、宣伝の面で大きな役割を担ったのはラジオとジュークボックスの存在だったそうです。
黒人ミュージシャンの演奏したレコードはラジオなどではそこまでかけてもらえず、黒人が行く店と白人が行く店がはっきりと分かれていた。という社会状況の中「黒人が集まる店」で自社の黒人ミュージシャンが演奏したレコードがジュークボックスでかかることはATLANTICの商品の売れ行きを左右する重要な要素だったそうです。
こうした経緯を読むと「なるほど黒人音楽(BLACK MUSIC)だ」とも思えます。そういう意味では「黒人音楽(BLACK MUSIC)」という言葉は使ってはいけない!とまではちょっと言いにくくなります。
また「第一次ブリティッシュ・インヴェイジョン」でイギリス人がやった「アメリカ黒人音楽の独自の解釈」はアメリカの「黒人と白人は別の店に行き別の音楽を聴く」なんて古い価値観を揺さぶったようなところがあるのかな?なんてことも想像できます。こういうのは「音楽は素敵だな」と思えるところでもありますね。
どの時代の音楽も社会情勢と密接な関係にあると思うのでこういったことも考えてレコードに針を落とすとおもしろいですよ。
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